婚姻関係の破綻の抗弁=民法=
2021-11-10
不貞慰謝料請求訴訟において、この「婚姻関係破綻の抗弁」がY(浮気相手)から出てくることは極めて多く見受けられます。
ただし、裁判所がその反論を容易には認めないのが現状です。
A(配偶者)Y(浮気相手)間の交際が始まるということは、逆に言えばX(浮気された配偶者)A間の婚姻関係は何らかの意味において(例えば、いわゆる「倦怠期」など)、程度の差はあれ円満ではなかったことの証左であり、その意味においても、Yの側からかかる抗弁が提出される土壌は整っています。
しかしながら、実際の裁判例ではこの「婚姻関係の破綻」というのは、言葉で言うのは易しいけれども、実際には、離婚したのと等しい状態(離婚届を役所に提出していないだけで事実上の離婚を意味する)のであって、そのような状態に至っている夫婦というのは、確かに一定の数は存在するにしても、それほど多くはないと思われるからです。
裁判例の中にもこの「婚姻関係の破綻の抗弁」をYが主張した事案は非常に多くありますが、裁判所はよほどの事情がない限り、その反論をまず認めないと言ってよいと言えます。