浮気や不倫に対する「民事執行法改正のメリット その①」
令和2年4月1日、改正民事執行法が施行されました。
民事執行法は「確定判決等(調停文や公正書も含む)」の債務名義を得た後、強制的に「権利を実現する場面で適用される法律」の事を指します。
難しい文言になるので、要するに「強制執行等の折に大変役に立つ法律」と思ってください。
特に「不倫・浮気」を経て「一方の配偶者が一方的に悪い」と「証明・確定した離婚」の場合に特に効果を発揮します。
その効果は「慰謝料」「養育費」等、「有責配偶者から貰えるあらゆるもの」に適用されます。
特に「長きにわたり徴収する養育費」には、覿面かと思います。
なぜなら、「改正以前」は、せっかく「債権名義を得た」としても「債権者の不動産」「預貯金等」の財産の存否(財産があるかどうか)を「把握する事ができず」、結局「債権の回収ができない」という事が「往々にしてあった」のげ現状でした。
もちろん、以前も「債権者の財産開示制度」は存在していましたが、以前の制度は「債務者に対し自己の資産の開示を求めるもの」で、「虚偽開示等(財産は無い等の嘘の報告)に対する「制裁」が「30万円以下の過料」という非常に弱いものでした。
この事から、罰則に弱さが「逃げの多さ」に繋がり、結果、実効性が極めて弱くなるという悪循環が生まれていました。
以前の訴訟受理件数が年間15万件程度で推移しながら、制度の申し込み件数が年間「1000件程度」と低調なのも、これを如実に表していると思います。
これまでいかに「財産開示制度」が「理解されず」「利用されなかった」事が分かるかと思います。
そこで、「財産開示制度の実効性」を確保し、ひいては民事司法制度への信頼を確保するため、本改正により、「債務者以外の第三者」への「債務者の財産を開示」するように申し立てを行う事が出来るようになりました。
つまり、
・今までは「債務者(本件で言えば「不倫した側」「不倫相手」で慰謝料確定した人物)」本人に「だけ」財産開示の申し立てができる「だけ」だった
・だから、「嘘をついた」としても「その嘘を証明しようがなかった」
・それは「金融機関」「市役所等の公的な機関」に対して「申し立て」が認められていなかったため
・今回からは「その公的機関」「金融機関」にも申し立てができるので、「言葉が嘘か本当か」を証明する事が出来る
・そうする事で「差し押さえ」つまり「強制執行が容易」になる
事になったという事です。
次回は、「各財産の開示制度」について詳しく述べたいと思います。
※なお、罰則強化にともない、さっそく「本年2月」に「損害賠償にかかる財産開示」に応じなかった人物が「民事執行法違反」の罪で「広島県警に逮捕」されております。
これは、画期的な事例であり、裁判が行われれば非常に興味深い判例が生まれるかと思います。
注視してまいりたいと思います。